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NO13-3『6年間の介護法を点検し反省ばかり』

被介護者 夫 63歳 介護度5       介護者 妻 63歳


初診から6年、入院を経て、特養入所2年目に入りました。
2012年末には、歩行困難となり、車イス生活を余儀なくされています。

 


この春、病気の夫に寄り添った6年間の記録を読み返し、真剣に反省する機会がありました。
まず、大きな紙に、年月日、夫の病状、服用中の薬、私の対応などを、時系列に書き出して、
俯瞰してみました。

 

 


今さらとは思いますが、私の対応の遅さが、はっきりと浮き出てきました。
受診するまでに3年もかかってしまい、いかにも長すぎました。この間に海馬の萎縮
が進んで、長谷川式テストは、初期とは思えない程の、低い点数でした。

 


もっと早く対処していれば、薬を飲みながら、生活習慣を整え、少しでも進行を抑え
ることができたかも知れません。
デイサービスも、本気になれば、あと半年早く探せたはずです。

 


デイサービスは、夫が社会生活を楽しめる残り少ない最後のチャンスだったのに、後手
に回り、それを遅らせてしまいました。

 

 


暴力については、医学的なことはわかりませんが、本人が暴力でしか、自分の気持ちを
訴えることができなかったこと、他には便秘が大きな要因だったように思えてなりません。
言葉を失ってからは、便秘による夫の気分の悪さを、理解してやることができず、
私の生半可な知識で、状態を悪化させたと思います。

 


その頃の日記には、「泣きたい」、「死にたい」、「一人になりたい」などの言葉がありました。
こんな心境で、どう考えても、笑顔で接していたとは思えません。
互いに悪循環に陥ってしまったと思います。

 

 


 2011年秋、夫は入院中、3回、てんかんの発作に見舞われました。
当時はまだ一人で院内を歩いていたので、頭部を保護するために、アボネット(ギヤーヘッド)を
24時間装着することになりました。1個1万円余のアボネットは、頑丈でやや重量もあり、
細いベルトを耳にかけ、あごの下で止めて固定する作りです。
冬は暖かいかも知れませんが、夏は暑くて、就寝中は寝苦しいに違いありません。

寝ているときに、アボネットがずれて目にかかったとしたら、手も動かない、言葉も話せない夫は
吠えることぐらいしかできないでしょう。

てんかん発作は、あれから1年以上おきていないし、暑い夏が来る前に、なんとか、
重苦しいアボネットをはずしてやりたい、と強く思いました。

「リスクは私が背負うから」「一筆書いてもいい」と申し上げても、施設としては、

専門の許可無く、アボネットをはずす訳にはいかないようでした。

 


今年2月、手帳の更新のため診断書が必要になり、木野先生にお願いした折、

夫を診に施設に来ていただいたので、アボネットをはずしてもらいました。

 


そのとき、貼り薬の「リバスタッチパッチ」を勧めていただき、今、その効果がはっきりと
現れてきました。それまでは、私が面会に行くと、いつもテーブルに自分の鼻が付く程、
背を丸めて、居眠りしていました。しかし、最近は、まっすぐに背を伸ばし、目をあけて、
テレビをみています。面会に行く家族にとって、こんなうれしいことはありません。

 


病気の進行と引き換えに、施設の職員を蹴ったり、大声を出すこともなくなりました。
残り少ない夫の生活が、穏やかにあって欲しいと願っています。

 


先生、ほほえみの皆さん、これからもよろしくお願いします。