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NO14-2『お母さん、いつもまでも私の灯火でいてね』

被介護者 母 89歳 介護度5       介護者   長女 58歳

灯火(ともしび)

あとどれ程の命が残されているのだろう
少し前まで笑顔を見せてくれた母
さよなら、と手を振ってくれた母
今は私の顔さえ分からない
私の声さえ届かない

無の境地とは、このような状態を言うのだろうか?

私を一生懸命に育ててくれた母の面影は、もうここにはない
勉強をしないならと、私のカバンを放り投げた母
いつもいつのときも、私の存在を気遣ってくれた母
家の仕事で忙しく走り回っていた母
あなたの言葉は、もう聞けない
私の名前を呼んでくれた母はもういない

だけど・・・
ここに確かな母の温もりを感じる
昔私を抱いてくれた暖かな温もりを感じる
手足にクリームを塗りながら
昔のあなたの面影を追いながら、私は母に話しかける

そしていつも最後には

「ありがとう、お母さん」
「いつも、私のことを想っていてくれてありがとう」
「どんな時も、見守ってくれるその想いに支えられていたよ」
そう一方的に繰り返しながら、無の境地にいる母の顔を眺め…
涙が頬をつたう。